×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

3Dプリンタで路面電車を作る
データ作成
さて、3Dプリンタが手元にあっても、安く作れる3Dプリントサービスがあっても、肝心のデータが無ければ何もできません。テレビでは「3Dプリンタが今後普及して一家に一台になる未来が来る!」という感じの紹介をしてますが、元になるデータが無ければただの箱。


データ作成手順
データ作成、初めてやってみましたがどうしても技術が必要です
●2Dの図面を2D-CADで描く技術
●作った2D-CAD図面を元に3D-CADで立体にする技術
●3D-CAD内で模型として設計する技術
これらの技術が必要になります。ぶっちゃけ「誰でもできる」というような物じゃないです。
設計のセンスが問われます。当然、模型を設計するための指南書というのは無いので、自分で試行錯誤することになります。

●2D-CAD
鉄道雑誌には図面が付いてるので、これをありがたく利用するのが手っ取り早いと思います。(著作権的にどうなのかわからないので、あくまでも個人で使うのみにとどめるのが基本ですが)
または、真横・真正面の写真を撮ってきてトレースするのが良いでしょう。路面電車くらい小さい車両だとこの方法でなんとかなります。
これができると、2D図面を作る作業がだいぶ楽になります。
今回は主な寸法の入った簡易図面から寸法を拾い、現地で撮ってきた写真をもとに図面を作りました。

●3D-CAD
2D-CADで作った図面を使って立体にします。これは3D-CADソフトによって作り方が違うので、慣れるしかありません。
最近は無料の3D-CADソフトがあります。
・123D Design
3Dプリントを視野に入れて作られたソフト。使いやすいようですが動作が重く不安定みたいです。
私のパソコンでは動きませんでした。
・DesignSpark Mechanical
こちらも一般的な3D-CADとしての性能を持っているようです。
・FreeCAD
低スペックパソコンでも動作します。・・・が、個人的にあまり操作感が好きになれませんでした。

●模型としての設計
 実物をそのまま1/150に小さくしても模型として成り立ちません。例えば窓枠。これを実物寸法通りに作ったら、細くて折れてしまいます。実物が3cm=30mmの太さなら、Nゲージではたったの0.2mm。塗装中に指が当たれば簡単に折れます。ちなみにDMM.comの3Dプリントサービスでの成形可能最小幅は0.2mm〜0.3mm。成形できる限界の細さです。組み立てや塗装などの後加工をして、動力を入れて走らせる模型として考えたらもう少し太くした方が良いのではないかと。そういった実用上必要な厚みを付けたり、デザインを強調してその車両らしさを出してやる作業をする必要があります。
また、車体の板厚も考えないといけません。薄くすると車体自体の強度が無くなりますし、3Dプリント時に反ってくる可能性があるようです。DMM.comでは1mmくらいが目安になってるようです。手元に既製品の模型と定規を置いて作業すると良いです。Nゲージ製品の厚さも、だいたい1mmみたいです。
 3Dプリントには既製品の模型(金型で成型する模型)よりも有利な部分もあります。金型成型では難しい凹部も3Dプリントでは自由に再現できますし、金型では絶対必要になる「抜き勾配」も不要になります。なので、パーツを分割せずに全部一体成型なんてこともできます。

2D-CADで実際に作業する
今回製作するのは熊本市電8200形電車です。九州の馴染みのある路面電車で、作りやすそうな形状であり、そして国内初のVVVFインバータ搭載車というパイオニア的な電車なので、3Dプリントで作る電車の「初挑戦」にはぴったりなのではないかと思い選択。ハンドメイドで作ろうとした時にヘッドライト周りの四角いでっぱりを再現するのが難しくて作れなかった電車でもあります。3Dプリンタでサクッと綺麗に作ってもらいましょう。

設計しやすいのはこのような平面的でパーツ数の少ない車両、それから国鉄10系客車みたいな切妻の車両も作りやすいはずです。逆に作りにくいのは、曲面の多い車両です。路面電車の旧型車の中にはおでこのあたりが複雑な曲面だったりするので作りにくいかも。新幹線の顔とかもかなり難しそうですね。

 下に写真を敷いてトレースしてここまで描きました。この段階でちゃんと1/150スケール(もしくは後で縮小するなら1/1スケール)で寸法通り描いておかないと、成型したときに大きさが違うということになります。全長×全幅×高さをしっかり意識しましょう。3D-CADになった段階での修正はけっこう面倒です。2Dのうちにしっかり描くことが重要です。
 模型用の電車の図面くらいなら無料のjw-cadでも問題無く描けるでしょう。これは側面図なので、他に前面の図面が必要になります。必要ならば屋上機器の図面なども必要です。

3D-CADで実際に作業する
今回はSolidWorksを使える環境がありましたので素直にSolidWorksを使いました。2D-CADで描いた図面(.dxf形式で保存しておく)を取り込んで作業します。グリーンマックスの板キットのように、側面・前面・屋根・屋上機器を別々に分けて設計しました。最終的に3Dプリントする際は、これらを板キットのまま出力しても良いし、3D-CAD上で箱形に組み立てて3Dプリントしても良いです。板キット状態での出力だと、組み立ての手間がありますが、後加工や表面処理がしやすいというメリットがあるかと思います。組み立て済みの状態で出力した場合、組み立て無しで楽な反面、パーツが既に付いているので表面処理がしにくいかもしれません。金型での成型だと箱形の状態で成型する場合はたくさんの金型が必要になりますが、3Dプリンターだと関係無く成型できます。
 ソフトによってできることとできないことがあります。SolidWorksでは平面図形の押し出しで立体を作る・平面図形の押し出しで切断するという機能があるため、これらを利用して作りました。ライトの部分は円形を描いて、その内側をドーム状にするというツールで膨らみを付けました。車体の肩の部分の丸みは、角を丸くする「フィレット」というツールを使ってます。自分の使う3D-CADソフトにどんなツールがあるかよく頭に入れておく必要があります。


 3D-CADでこんな感じに作りました。実際は屋上機器は別パーツで成型してもらいます。奥側の屋上機器に注目。側面にルーバーが付いてます。これ、金型を使用した成型ではこの形には簡単には成型できません。いくつも金型が必要になって金額が高くなるのです。
 ちなみにここまでかかった時間は1週間ほど。2D-CADはそこそこ、3D-CADは全く触ったことの無い状態からのスタートです。


 2両分を発注したうち、1両を箱組の状態で、もう1両を板キットの状態で成型してもらうことにしました。
3Dプリントの特性を知るためで、接着のしやすさや、パーツ同士の合いや、寸法の狂いを見るためです。
排障器パーツは壊れないようにランナーを付けています。換気扇カバーはパーツが小さいので、やはりランナーを追加してまとめています。
 前面パーツが1個余計にあるのは、3Dプリントのサンプルとしてそのままとっておくためです。所属する鉄道模型サークル内で3Dプリンタを利用したキット製作をしたいという話があったので、そのテストピースに使用します。

この状態で3Dプリント料金は5856円でした。納期は通常は1週間ほど。

次回 成形品の評価
 
トップページに戻る