3Dプリンターで鉄道模型を作る
はじめに

 最近テレビなどで「新しい技術」としてとりあげられる3Dプリンタ。小型の物が10万円で手に入るようになったとか、フルカラーで立体がプリントできる3Dプリンターがあるとか。これを見てみんな考えるのは「これで模型が作れないか?」だろう。「メーカーの完成品が要らなくなるんじゃないか?」という声もあるくらい期待されている技術のようだ。「これがあれば模型が簡単に手に入るようになる」とも言われている。本当かな?

それが実現すれば・・・

↑例えば、こんなものが作れれば、自分の欲しい車両のオリジナルキットを作れるということ。
プラ板やペーパーでフルスクラッチする時のように、窓を均一に抜いたり、屋根の曲面を綺麗に仕上げたりというのを気にしなくてよくなる。
前面パーツを既製品から流用したらどうしたことか似てなかった、というのも無くなるはず。


↑例えば、こんなものが作れれば、塗装だけすれば欲しい車両が手に入ることになる。


プリンタの種類と価格を知る
●個人向け3Dプリンタ(本体価格:数万〜20万円くらい)
 頑張れば個人で買えるくらいのお値段。これはABS樹脂などで立体を作成するもの。ABS樹脂というのは鉄道模型完成品の車体に使われてる樹脂と同じ。この3Dプリンタの方式は、溶かしたABS樹脂をソフトクリームのように積んでいくというもの。0.1mm〜0.3mmずつ積層するため、精度も悪く積層の凹凸ができてしまう。
 残念ながらNゲージくらいのサイズの模型だと使いにくいと思われる。どうもHOゲージでも表面が荒れてしまって厳しいようだ。アセトンを塗布して表面を溶かして綺麗にする方法があるが、細かいディテールも溶けるので模型には向かない。

●フルカラー成形ができる3Dプリンタ(本体価格:すごく高いはず)
 成形と色つけを同時にしてくれる夢のような3Dプリンタとしてテレビなどでよく紹介されるもの。素材が石膏で、色つけも滲んだ感じになるので、「プリンタから模型が完成状態で出てくる」・・・とはいかない。表面はザラザラした感じ。

●業務用3Dプリンタ(本体価格:数百万〜千万クラス)
 光を当てると硬化する樹脂を薄く印刷した上に光を当てて積層していく。0.01mm〜0.03mmくらいずつ積層していくので、滑らかな平面を作ることができる。材質はアクリル系樹脂、もしくはナイロン樹脂など。金属の成形ができるものもある。
 本命はコレ!


ちなみに、3Dプリンタという物自体は昔からあるようで、特別新しい技術というわけではありません。ただ、価格が下がったことで個人でも買えるようになりましたし、精度が上がったことで模型など利用方法が増えたと言えます。「3Dプリンタの技術が進歩して普及した」わけですね。


オンライン3Dプリントサービスを使おう
 業務用の数百万数千万の機械を買えない個人や企業のために、3Dデータを送ると業務用3Dプリンタで成形して送ってくれるサービスがあります。ネット上を検索すればたくさん出てくるはずです。
金額は路面電車くらいのサイズだと5000円〜10000円くらいが相場。海外だと2000〜3000円で済むくらい安いらしい。国内でも安く作れるサービスが登場。


●DMM.com
 本業がいかがわしい業者ですが3Dプリントサービスもやってます。出力価格が海外の業者並に格安で素材の種類が豊富なのが特徴。素材はアクリル樹脂・アクリル樹脂高精度・ナイロン・フルカラー石膏・チタン・シルバーなど。
 ちなみに金額は成形物の体積で決まるようで、箱形に組んだ車体でも板キットの状態でも金額は同じでした。
参考に金額を記しておきます。(車体+排障器+屋上機器=路面電車1両キット)

フルカラー石膏 1460円
アクリル樹脂 2970円
アクリル樹脂高精度 3489円
ナイロン樹脂 2168円
シルバー 13674円
チタン 11073円

 さすがにチタンで車体を作る人は居ないとは思いますが参考程度に。金属で細かい強度の要るパーツを作るということができるはず。
本命は一番細かく作れるアクリル樹脂高精度ですね。
3000円前後でオリジナルの車体が作れます。ワンオフの樹脂製車体キットとしては妥当な値段ではないでしょうか。自分の感覚では「自作が大変な車両を1万円くらいのお金と引き替えに楽して作る」という感じでしたので、3000円という値段にびっくりしました。このくらいの値段なら「ガレージメーカーの車体キットを購入する」くらいの感覚ですね。
(ちなみに、2両分を1つのデータにまとめて出力してもらうと、アクリル樹脂で4590円(1両あたり2295円)、アクリル樹脂高精度で5856円(1両あたり2928円)になり、少し安くなります。これは金額に送料が含まれているためでしょう。)

●SHAPEWAYS
 こちらはアメリカの3Dプリントサービス業者。自分で持ち込んだデータの出力の他、個人がアップロードして販売しているデータから購入するということもできます。路面電車関係を探してみたところ、ヨーロッパの車両・アメリカの車両・オーストラリアの車両を確認しました。これらは現地の鉄道模型ファンが自分達でデータを作って配布してるというわけです。
 日本語には対応してませんが、英語での発送先入力と支払いさえできれば割と簡単に購入できるみたいです。

他にも様々な3Dプリント業者があります。ここでは価格の安くて精度の出せる2業者を紹介しました。
他の業者では価格が高くなりますが、やりとりする上で融通が利いたり、樹脂に特徴があるなどのメリットがあるようです。

次回 3Dプリンタ成形サンプルを取り寄せる

 
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