1000型
1015号
超低床電車「ユートラム」

フルスクラッチ
以前に作った物の集大成となりました。フルスクラッチの車体+荷重補正構造付き動力+遠隔操作式で以前作った物を全部詰め込んだような感じです。2次車の1014〜1016の1015号をプロトタイプとして選択。側面台車カバーにエアインテークが付いた車両になります。
デジQトレインの制御基板と専用コントローラーを使った遠隔操作式の電車です。バッテリーを積んでいるため、線路から電気を取る他の電車とは別にコントロールできます。また、配置の都合で線路に電気が通らない部分を走ることや、渡り線で転線して方向転換することもできます。要するにラジコンみたいな感じです。操作はデジQトレインのコントローラーが鉄道模型用コントローラーとそっくりなので鉄道模型と同じように速度調整と走行方向を調整して走れます。この電車を作った目的はDCCを使わずに個別列車運転をすることです。個別運転するならDCCを使えばいいだけなのですが、DCCが普及しきってるわけではありません。自分の周りは通常の直流電源方式の方が多いです。

実際はそんなことはどうでもいいのかもしれません。直流電源だろうとDCCだろうと非電化だろうと道路上だろうと走れるとんでもない車両を作りたかったのかも。
完成状態
ユートラム「交通局前」行きの方向幕を貼り付けてから1系統ばっかりになってることに気が付きました。

パンタグラフの後に赤外線受光部があります。
 
通過可能最小曲線半径は10cm。TOMIXのスーパーミニカーブレールも走れます。
速度は実物換算で時速1キロ〜70キロ程度。時速1キロというのは模型だと分速10cm=秒速1.6mm。信号待ちしてる先行車にじりじりと寄っていくことも可能。正直、ここまでの低速走行ができるとは作った本人も想像できませんでした。
速度の調整は20段階くらいあるのでスムーズに加減速できます。
 
 

左から2001年、2002年、2004年、2008年(今回)に作った物。2001年版は動力を7000型に譲って下回り無し。荷重補正構造ができてから車体寸法を妥協せずに済むようになりました。中間車体が重くても前後台車上に適正な荷重がかかるのでウイリーせずに安定走行ができます。もちろん連接部の間接は実物通り連接面にあり実物通りの動きをします。
 
ニコニコ動画のアカウントがないと見れませんが、走行状態など動画にしました。
こちらの方が画質は良いです。(音が出るので注意)


アカウントが無くても見れるはずのyoutube版。内容は同じです。

動力製作
1013号の動力。この基盤を使いました。今回は前に製作し失敗した1013号の制御基板を使います。(左の写真) 元はコナミのデジQトレインのものです。ずっと使っていなくて久しぶりに充電したら、案の定動きませんでした。付属しているニッケル水素電池がダメになっていました。デジQシリーズ全て共通の電池らしいのですが、この電池がダメになって遊べなくなったという例がたくさんあるようです。

 乾電池3Vで動作テスト中の状態です。元のニッケル水素電池は2.4Vでした。元よりも大きい電圧をかけているわけですが、問題なく動作しました。
 過去に作った1013号の時は「電池容量が小さいのでパワーが無い」「モーターが小さいのでパワーが無い」「充電10分・走行15分なのですぐ電池切れを起こす」などと実用上問題がありました。(充電10分走行15分は製品的にも不満の声が挙がっていたようです) 何よりもまずバッテリーです。これが問題の大元です。それなりの容量で電車の中に入るサイズを探す必要があります。今回はカメラ用電池「CR2」サイズのリチウムイオン電池を使用しました。というか、条件を満たす物がこれしかありませんでした。電圧・供給可能電流共に上昇したのでモーターもパワーのあるものが積めます。KATOのBトレインショーティー用小型動力の旧製品のモーター(定格3Vくらい?)を使いました。現在は12V仕様のモーターになりましたが、発売当初は3Vのモーターに100Ω抵抗が繋いであるという物でした。(これがまた抵抗のせいで走りが良くなかった。) 動力台車もこの動力の物を使っています。これで問題は全てクリアできました。新たに購入した電池以外はジャンク箱から持ってきてます。
 
 要らない部品は取れるだけ取って、余白も削れるだけ削って、移動できる素子は移動してできるだけ小さくしてみました。写真の上が製品の基板サイズ、下が削って小さくしたサイズ。充電はしないのでスイッチや充電用端子は切り捨てます。やこれくらいなら車体に縦向きに搭載できます。今回は低床電車で屋根が低いので斜めに搭載してあります。
 

 動力の完成状態です。充電できない普通のCR2(カメラ用3V電池)も使用できます。(1個700円するので経済的ではありませんがコンビニで手に入るのが強み) モーターは動力台車に直接差し込んであります。極限まで駆動ロスを小さくするためです。中央車体に重いバッテリーを積みましたが、荷重は台車直上にかかるので安定走行します。

 本当にユートラムは模型として作りにくい車両です。台車の付く車体は小さいのでまずモーターが載らない。補重しようにも前後の車体は小さすぎてウェイトをぎっちり詰めてもたいした量にならない。中間車体は重いとウイリーする。とんでもない車両を模型化の対象に選んでしまったものですw

車体製作
 車体は厚さ1mmのアクリル板から。7000型を作った時はドアをスジ彫りだけで済ましていたのですが、今回はくり抜いた部分にドアをはめ込む方法でドアの段差を再現。


 ちなみに奥は1012号。こちらは薄めの透明プラ板を重ねています。だんだん黄ばんできたようです。今回使用したアクリルは黄ばみにくいので大丈夫だと思います。
 
 側面にある屋上用ステップはさすがにアクリル板は彫り込めません。四角い断面の金属(レールを加工)をライターで熱して押しつける方法で再現してみました。一直線にならないと格好悪くなるのでステンレス定規を貼り付けてガイドにします。

 ドアの再現と共に、再現できるだけの凹凸表現はできるだけ付けてあります。アクリル一枚物の車体なのでのっぺり感を緩和するためです。
 
 前面はペットボトルです。上部のすぼまってる部分を切り出して前面の三次曲面を再現します。
 ペット樹脂が経年にどれくらい耐えるのかわかりませんが、接着剤がうまく付かずに苦労しました。
 

車体完成。車体内側・外側共に瞬間接着剤で白くならないようにあらかじめマスキングして作業します。(写真は外側の保護用マスキングテープをはがした状態)
 
 窓ガラスのマスキングをします。原寸図面を印刷した紙にマスキングテープを貼って写し取ります。印刷してすぐはインクが乾ききっていないので貼って剥がせばテープ側に写ります。これを側面に貼り付けてデザインナイフでカットします。その後塗装してできあがり。
○前の問題点の解決
×重すぎる→○構造体がプラになったので軽量化できた。
×電池が良くない→○10分の充電で15分しか走らないニッケル水素バッテリーから、2時間の充電で8時間くらいの使用が可能なリチウムイオン電池に交換。充電時間は長くなったがきちんと充電しておけば走らせまくっても電池切れを起こさない。
×パワー不足→○バッテリー容量増加によりモーターもパワーのある物が使えるようになった。車体が軽くなったのと相まって軽快な走りになった。
×赤外線到達距離が短い→○電源電圧が上がったことで感度も良くなった。コントローラーからの赤外線信号は天井に反射させることで遠くや建物の影でも赤外線が到達することを確認。とりあえず巨大レイアウトや野外でなければ使用可能。

新たに発生した問題
× 脱線しても走り続け、電車がレイアウト上から脱走するw
↑レイアウト上に電車が無い!と思ったら、電車が線路から逃げていた・・・なんてことも・・・
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