実車写真:レール上に降り立つ低床電車 1000型
1011号
超低床電車「ユートラム」

フルスクラッチ(自作
)
実車解説:国産初の客室100%低床の超低床電車。2002年1月15日営業運転開始。アルナ工機の低床電車プロジェクト「リトルダンサープロジェクト」のメーカー主導型による構造設計。3種類設計されたうち、鹿児島ではA3タイプを選択している。リトルダンサーは構造的に無理のあるものを排除することでメンテナンスのしやすさや導入のしやすさを考えた設計になっている。

 
ユートラム 試案塗装1000形試案塗装
1000形登場の約1年前、新聞にて低床電車導入が告知された時の塗装がこれ。アルナ車両のサンプル案だろうか?

動力・車体共に自作。KATOのモーター・台車を使ったが、この動力はとても走りが悪かった。
中央車体にモーターを積み、ジョイントを介して片側の台車に動力を伝達する構造。重いモーターが中央車体にあり先頭車体がウイリーするため、しかたなく関節の位置を実車とは違う台車上にせざるをえなかった。
 
ユートラム1011号車
超低床電車導入計画が新聞に完成予定図入りで掲載された時点で製作を開始。完成したのは実車がやってくる2ヶ月ほど前だった。

しかし、作り始めてから模型化するにはとんでもなくハードルの高い車両だとわかったのでした。ウイリー対策や集電対策や導電対策などを作るごとに模索していくことになります。(7年かかって6個作ってやっと満足できるものができた)

自作動力構造が独特のため、動力も自作しなければなりませんでした。前後の小さい車体に台車があるため、モーターを収めるスペースがありません。重いモーターを中央の大きい車体に積むと今度は軽い先頭車が中央車体の重さに耐えられずウイリーします。先頭車体にはウェイトを積むスペースもありません。

ウイリー対策は、連結部を蝶番(ちょうつがい)のようにすることにしました。台車とモーターはKATOのきららのものを使用。
車輪から集電した電流も車体間を渡さねばならず、銅板をスライダーにして通電している。集電不良に重量不足と電気接点の多さから集電不良を頻発し、できの悪い関節は回転が悪くカーブを曲がれず、中央車体に載せた重いモーターによりウイリーが発生し、まともに走らなかった。

動力裏返し
 
ユートラム1012号車
実車が登場し、寸法も知ることができたので再チャレンジしました。

自作動力関節を強化してウイリーしないようにしたわけですが、今度は台車が上下に動くことができなくなったため、レールへの追従が悪く、集電不良を頻発しました。車体間を通電する銅板はウイリーしないように薄い弾力の弱い物を使用したのですが、今度は通電板同士が押さえつける力が弱く、集電不良を頻発しました。

動力裏返し
 
1013号車
同じ電車をいくつも作っていると、続行運転をやってみたくなりました。赤外線による遠隔操作を使った似非DCC仕様です。コナミのデジQトレインが発売された時にシステムを流用して線路電源とは別に個別操作することを目的に作りました。

構造やアイディアに力を使い込んで車体を作るのが面倒だったので車体はペーパークラフト。コントローラー内にある充電スペースに車体が大きくて入らないので、中間車体だけ外して充電します。

この時に不完全ながら荷重補正機構を作りました。赤外線による遠隔操作は成功とは言えませんでしたが、荷重補正機構はのちに作った7000形や1015号車で威力を発揮することになります。
 
ユートラム1014号車
イベントなどで使用するために走行性能最優先で製作。トラムウェイのグリーンムーバーの動力をそのまま使用した。前後車体は短縮。動力は既製品なので集電効率はとても良いのですが、20分も走らせるとモーターが発熱する仕様で、さらに起動電圧が高いため他の車両と同じようには走らせられずにいる。(イベントなどではエンドレスを回ってくるのに時間がかかるので、たくさんの車両を同一線路上に載せて続行運転のような感じにしています。この車両だけ極端に遅いのですぐ追いつかれます。)
ちなみに、イベント用のため2両を用意しました。
 
とまあ、新聞に掲載された構想図(試案塗装)が発表されてから、1015号車を作るまで7年間で7両ほど作ってるわけです。
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